最愛の大切な人

6/7
前へ
/53ページ
次へ
 少し離れたと思ったらそっと頬を撫でられて、視線が絡み合ってどちらからともなくキスをした。  触れるだけのキスから角度を変え、小鳥がついばむようにつつき合ううちにこじ開けられ、舌で舌を絡め取られる。 「んっ、ふぅ……っ」  狭い車内に荒い息遣いとリップ音が響き渡る。スモークガラスで外から見えないことをいいことに、ただ欲望のままに彼の熱い唇を一心に享受した。 「紫、愛してる」  私の目を真っ直ぐに見て告げられた言葉に、思わず涙が溢れそうだった。 「ずっと傍にいて」 「……はい」 「泣いてる?」 「だって、嬉しいから……っ」  ポロポロ涙をこぼす私の額に優しくキスされ、キュンとすると同時にまた涙が溢れてくる。 「紫、今すぐ抱きたい」  耳元で囁かれた言葉に心臓が飛び跳ねた。 「てゆーかずっと我慢してたんだけど、そろそろ限界」 「えっ!?いやここでじゃないですよね?」 「ダメ?」 「ダメに決まってるでしょう!!」  こんなところでは流石に嫌なんですけど……!!見えないとはいえ、めちゃくちゃ人通りだし!!  するりと服の中に入れようとしてくる手をグイグイと押し返す。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2693人が本棚に入れています
本棚に追加