最愛の大切な人

7/7
前へ
/53ページ
次へ
「じゃ、俺ん家で」 「それならいいですよ」 「あ、いいんだ?」  クスッと笑われたけど、だって仕方ないじゃない。私だってもっと触れたいし、触れてもらいたいって思っちゃうんだから――。 「よし、とっとと帰ろう。今すぐ帰ろう」 「切り替え早すぎてなんか嫌〜」 「うるせえな。こちとら拷問並に耐えてたんだが。つーか紫、そういう服は俺と二人の時だけにして」 「え?」 「肌を見ていいのは俺だけなんだよ」 「っ、」  お腹を空かせた子犬みたく寂しそうにしていると思ったら、急に獣みたく欲望を剥き出しにして私を求めてくれる。  隠そうともしない独占欲に溢れた重すぎる愛が、私を包み込んで満たしてくれる。  さっきまでの不安な気持ちはどこかに消えてしまった。  まだまだ私たちの恋は始まったばかりで、また不安になったりすることもあるかもしれないけど。  あなたが傍にいてくれるなら、きっと大丈夫。  そんなあなたのことを私も心から愛してる。 「紫、そろそろシートベルト絞めて」 「キリさん」 「ん?」  私は耳元に唇を寄せて、そっと囁いた。 「――やっぱりキリのことが、世界で一番大好き」  お兄ちゃんより素敵な人はいないけど。  お兄ちゃんより大好きでずっと大切にしたい人って思える人は、あなた以外にはいない。 「……紫、やっぱり今すぐ」 「ダメって言ってるでしょ!」 fin.
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2693人が本棚に入れています
本棚に追加