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アリス憑かれる
その日、アリスは、昼過ぎまで、寝ていた。起きて、茶の間に行くと、父親の彰寛がいた。
「おはよ。よく、寝てたな。昨夜はバイト行ってないんだろう?」
彰寛には、キャバクラで働いている事は言っていない。深夜まで営業している飲食店だと言ってある。
「うん」
「お祓いは、どうだった?」
「うん…大丈夫…」
「大丈夫? 何か変だな。ボンヤリしてる」
「ご飯たべないと。ご飯食べて、球場に行かないと」
「球場に? 今日も行くのか?」
「たぶん、先発だから」
「は? 何を言ってるんだ?」
アリスは、ご飯と味噌汁を台所から、持ってきて、バリバリ食べ始めた。彰寛は、あっけに取られて、その様子を眺めている。食欲旺盛らしい。
「そんなに食べて…大丈夫なのか?」
「この時間なら、大丈夫」
「この時間?」
「試合まで、だいぶある」
「試合?」
アリスは、ご飯を五杯食べて、部屋を出て行った。その後ろ姿を、彰寛は、首を傾げて見ていた。
「アリス…歩き方が、いつもと違う。まるで、別人みたいだな」
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