虚構日記 2023/10/10

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虚構日記 2023/10/10

 昨夜、レミは姉の部屋で寝た。余ってる部屋などない。  幸いというか、姉の部屋からAVめいた声が聞こえてくることはなかった。  昨日、レミ王子がフランス語で「君が僕を抱けなくとも構わない」っぽい意味のことを言ってたのを聞いた。  サトルがタマナシとは自己申告のみだ。風呂の介助で確認したことはない。  タチネコ明確にしてもらう必要などないけど、物騒な想像をするよりは、まだマシな気がした。  おかげで寝不足だ。妹まで朝はなんだか憔悴した顔で起きてきた。  仕事帰り、みたらし団子を買った。  3本入り1パックじゃ足りない。4人だから2パック。余った分は、食べたい人が食べたらいい。  と思ったら、閉店間際だったからか、2本おまけしてくれた。  そういうわけで、夜中に4人で、麦茶とみたらし団子を囲む。  それなりに緊迫感をもった顔つきのレミとサトル(サトルの顔だった)が並び、向かい側に私と妹。  説明する手順は、あらかじめ打ち合わせしていたらしい。レミはノートパソコンを私達に見せた。 「ブレイン・ポートの信号を映像化したものだ」  盲目の登山家が七大陸最高峰を制覇したとき使ってたもの、ではなくて、暗闇でも活動するために開発されたものだという。実際は全方位が見えるけど、映像は必要な部分だけ切り取ったそうだ。 「ハロウィン?」  首をかしげて言ったのは妹だ。 「ベルセルク?」  と、これは私。  画像は荒いけど、シンプルにいえば、百鬼夜行。 「我々は、八百万の神と呼んでいる」  三浦建太郎氏の訃報に泣いた私は、そうはいってもホラーは苦手なので、画面から目をそらしてつぶやいた。  なんで。百鬼夜行でいいのに。  主語が「我々」であることも突っ込みたかったけど、レミが、ときどきサトルが補足するこの話は、到底みたらし団子二串では飲み込めるものではなかった。  あれが日本に到達するまで、まだ数週間あるというのを信じることにして、とにかく今日は寝る。  頭が痛い。頭痛薬を飲んで寝よう。  最近のはだいたい「眠くなる成分が入っていません!」ていうけど、頭痛いときくらい眠らせてほしい。働かせる気まんまんかよ。  おやすみなさい。
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