絶対そうだ

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絶対そうだ

 今日の帰りの電車で、佐倉さんとイケメンの男子が一緒にいるところを見て嫌な予感がした。見たことがない私服姿の男子は、年上っぽかった。もしかしたら大学生なのかもしれない。  あれ、彼氏だ。  絶対そうだ。  座り込みそうになるのを、つり革で支える。誰かに鷲摑みをされたように、心臓が苦しい。  見ないと。  見たくない。  見ちゃダメだ。  見なきゃダメだ。  震えながら、佐倉さん達をもう一度見た。    いつのまにか恋人つなぎしてた。  後の、二人の密着感。  佐倉さんの、あの幸せそうな笑顔。     電車の中で、路チューしてんじゃねえよ。 ●  次に止まった駅で降りて、ずっと走っては歩いてる。どんなに頑張ってもたどり着けないってわかってるけど、月を目指してる。  あの月は佐倉さんだ。    もしかしたら。  手が届いたら。  たどり着けたら。  そう思って歩いている自分が馬鹿らしい。  でも、歩き続けてる。  まだ、走り続けてる。  なあ。  どうしたらあの月にさわれたんだ?  佐倉さんが俺だけに向ける笑顔を見れたんだ?  はは、何言ってんだ俺。  答えなんかわかりきってる。  夢見てただけで何にもしなかったからだ。  はは。  ははは……。  ばっかじゃねえの、俺!  ムッカつく!!! 「うおおおおおおおおおおっ!!」  また、走る。
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