第一夜

2/10
91人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
店の奥は無法地帯だ。 本能剥き出しの男たちが、ひとに見られることもはばからずに行為に没頭している。 俺は見慣れた光景を眺めていると、大声を出している若い男を見つけた。 「嫌だ、離せ!!」 「そういうプレイが好きなのか?」 「違う!!」 初めて見る顔だった。 そして、可愛らしくて俺好み。 今夜の相手は彼にしよう。 横取りは趣味ではないが、致し方ない。 全ては俺の気まぐれだ。 「なぁ、嫌がってるだろ。」 「はぁ?お前に関係ないって…って、修二さん?」 「ん、久しぶり。」 揉めている相手は顔見知りだった。 正しくは、1度寝たことのある男。 「優馬、その子、譲ってくれないか?」 「修二さんが俺と遊んでくれるならいいですよ。」 「気が向いたらな。」 「またそんな事言って。ほんとにずるい人だ。」 すると、優馬は俺の腕を引っ張り、舌を絡めながらキスをした。 「んっ…今夜はこれで我慢します。」 「そういえば、入口の近くに優馬好みの子がいたぞ。」 「まじ?行ってみる。」 「ああ。いい夜を。」 「修二さんも。」 そして、優馬はその場を去った。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!