銀の月

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「まぁ、満足といえば、ある意味満足だが」 言葉とは裏腹に、確実に熱を帯びてきた彼の下半身が、俺のケツに熱さを擦り付けてきているのを把握している。 「素直じゃないねぇ」 ニヤニヤしながら、彼の目を見つめる。 二人きりの静かなプールサイドで、この先の展開を遮るものは何もない。 けれど、開けっぴろげに先を望むのは、なんだか品がない気がする。 「お前こそ、素直じゃないだろう」 彼は俺のTシャツの裾に手を滑らせ、そのまま手繰り、直に背中を撫でてきた。 「っ、素直だよ、俺は」 言いながらクスクス笑っちゃうから、我ながらしょうがない。 「じゃあ、はっきり言わせてもらおう。お前を抱きたい」 彼も茶番に付き合うみたいに、ニヤリと笑った。 改めてはっきりと言われると、スイッチを入れたみたいに、強く気持ちが昂って行くのを感じる。 この空間にいるのは彼と俺だけで、灯は月明かりばかり、波の音も静かなのも、やっぱり心地いい。 「じゃあ、抱かせてやろうか」 俺から抱いてくれなんて言ったこと、あったかな。 思い出せないけど、たぶんほとんどないと思う。 いつも、息をするのと変わらないくらい自然に、彼を肌を重ねている。 今日は開放的な気分も相まって、いつもよりは興奮の加速度が高い気がする。
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