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月明かりを頼りに、穏やかに見つめ合う。
深く抉るようなキスは、特別な時間にだけ与えられるもの。
彼は俺から一切の衣服を取り払うと、胸に貪りついた。
もう新鮮味も何もないだろうに。
それでも彼は俺の体をようやく手に入れたみたいに、愛おしげに撫で、吸い付いている。
「ん……」
誰もいないのはわかっているけど、外のせいもあって、つい声を我慢しちゃう。
彼は笑った。
「恥ずかしがらなくていいぜ。素っ裸で一晩過ごしても、ここには誰も来ないんだ」
「わかるけど、さ」
外で、ってあんまりしたことがないから、罪悪感みたいな感覚もある。
「まぁ、大胆じゃないのが、お前らしくていいな。愛してるぜ」
そのまま唇を噛むような勢いで、深いキスを見舞ってきた。
「んんっ」
俺の腰から尻を、指先でなぞっていく。
そのまま、彼を受け入れる一番奥に触れてくる。彼が触れてくることに、一切の抵抗はなかった。
「あっ」
嬌声とともに上向いた目線が、細かな星の光を捉える。どれだけ声を出しても、夜空が全て吸い込んでくれそうだ。
そう思うと、徐々に声が溢れてきた。
自分の喘いでる声は、全然好きではなかったけど、彼は好きだから仕方ない。
「相変わらずイイ声をしている、ハニー。耳障りがいい」
うっとりしながら言う。
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