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二日目
駅前の商店街を抜け、ぼくは駅に向かった。七時十五分の電車には間に合いそうだ。駅の長い階段をのぼり、そしてこんどはホームまでの階段。電車を待つ人々がポツポツ見える。そのなかに江梨子も見えた。同じ町に住んでいる同級生でクラスも一緒。ぼくとわりと仲がいい。
「よ、おはよ」
「おはよ、まもる」
江梨子は今朝はいつもと違って髪をうしろで束ね、白いリボンを結んでいた。見たことのないリボンだった。ぼくたちは並んでホームの白線の後ろに並んだ。
「試験、もうすぐだね」
「ああやんなっちゃうよ。ぜんぜん勉強してないし」
「夏休み、遊びすぎよ」
「あーあ」
言い訳はできない。来年は受験だから今年の夏は思いっきり遊び倒した。宿題以外勉強はしてない。
「あたしはずっと夏期講習よ」
「そいつはご苦労さんでした」
「なによ、あっ!」
いきなり視界から江梨子が消えた。いや、ホームから落ちた?いやいや誰かに突き飛ばされたんだ!
電車の警笛とブレーキ音が同時に聞こえ、すぐに電車が目の前をとおり、そしてとまった。
「江梨子?江梨子っ!」
電車とホームの隙間を覗き込むと、そこには見たこともないおぞましいものが見えた気がした。ぼくは声にならない声で叫んでいた。
そこで目が覚めた。またしても嫌な夢…。
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