月夜に見つけた王子様

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 櫻葉さんの顔がさっきまでの暗い顔は鳴りを潜め、いつもの明るい、ううん、正確には明るさを何とか保ってるような顔を見せた。 「ふふ、ごめんね。こんな話」 「いつ、行くの?」  辺りが暗くなる前に、僕は聞いておきたかった。  彼女は少し黙った後、口を小さく開く。 「明日……」 「……急だ」  明日って、明日? 何でそんなに急なんだ。 「ごめんなさい。本当は決まった時点で、真っ先に柳野くんに言いたかったの。でも……、なかなか言えなかった」 「……じゃあ、みんな知らないんだ」  櫻葉さんが力なく頷いた。ふにゃふにゃにしぼんだ、みかんみたいに見える。失礼かもしれないが。  僕は立ち上がった。そして俯く櫻葉さんの手をとった。 「柳野くん?」 「行こう」  どこへ、と聞く櫻葉さんを無視して、彼女に鞄を押しつける。僕も自分の鞄を持って、教室を出た。  
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