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「リリ?」
そんな私の表情を窺うようにそっと覗くメルヴィ。
けれど、私自身何がそんなに気に入らないのかがわからず、そんな彼からも顔を逸らしてしまう。
「……リリが着てくれるなら、いくらでも紺のドレスを贈るよ?」
「え」
「ううん、受け取ってくれるだけでもいい。俺の色のドレスがリリの物だって思うだけで嬉しいから」
「そんなこと」
ない、と思うのに、そう告げるメルヴィは溢れそうなほどの笑顔を私に向けていて、私の心を落ち着かなくさせた。
「着ないドレスとか、いりません」
「なら着てくれる?」
「着る場所とかないですよ」
「結婚式があると思うけど」
「結婚式!?」
突然の飛躍にギョッとする。
“確かに結婚して欲しいとは言われたけど!”
それはあくまでも魔法の力で言わされている訳であって。
“頷く訳にはいかない、変に頷いて今すぐ式なんて言われたら、魔法が解けた時怖すぎる……!!”
「け、結婚式なら白いドレスなんじゃないですかねぇっ!?」
うわ、間違えた、と思った。
“焦ったからって、結婚式の方を否定しなきゃだったのに!”
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