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5.お出かけだったら一緒に行こう
突然現れた王太子に小さく悲鳴をあげるメイドさん。
そんな彼女に嫌悪感を出すこともなく、惨事となっている廊下をぐるりと見渡して。
「君には世話をかけたようで……」
「ひえぇっ!?」
「ちょっ! 王太子が軽々しく頭とか絶対下げちゃダメでしょ!」
サッと私の代わりに頭を下げた。
その様子に私も、そしてメイドさんも一瞬で青ざめる。
“私の魔法がまた失敗したせいで……!”
一度は成功したはずなのだ。
そうでなければこんな失敗をするようなポンコツ魔女の為に尊い方であるメルヴィが頭を下げるはずはないのだから。
“それなのになんで失敗してしまったんだろ”
成功した時と失敗した今の違いがわからず思わず唸った私は、すぐに唸っている場合ではないと気が付いて。
「っと、ごめんなさい! 片付け手伝います」
慌ててそう口にすると、メイドさんがにこりと微笑んだ。
「構いませんよ、お掃除は私の仕事です」
「で、でも私のせいで手間が増えて……」
「誤差の範囲です」
“絶対違いますけど!?”
私が内心で惨事、と表現するほど酷い有り様なのだ。
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