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これが誤差だというならば、とんでもなく幅広い統計を取ったことになるだろう。
それでも誤差だと言い切った彼女の優しさに申し訳なさと、そして感謝が私の中を占めて。
「……うん。君、名前は?」
そんな彼女を私と一緒にじっと見つめていたメルヴィがそう聞いた。
「え、エッダと申します」
おずおずとそう答えるメイドさんに大きく頷いたメルヴィは、すぐにくるりと私の方へ向き直る。
「リリに専属侍女をつけようと思っていたんだが、彼女はどうだろう?」
「私に専属侍女、ですか?」
「あぁ。ずっと俺がリリの側にいて何でもしてあげたいんだけど、それは流石に叶わないからね」
“当たり前すぎる……!”
王太子という立場は、当然遊んでいて成立するほど甘くない。
あまり世間には詳しくない私ですらそんなことはわかっていて。
「君もどうかな? 彼女のサポートを頼みたいんだが」
「あ、わ、私でよろしければ……」
メルヴィからそう提案を受けたメイドさんことエッダも、少し戸惑いつつ頷いた。
まぁ、王太子から直々に言われて断れるメイドなどいないとは思うのだが……
“でも”
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