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じわりと頬を赤くした彼女がチラチラと私を見る。
“あれは喜んでる……わよ、ね?”
何故私を見ながら嬉しそうな顔をするのかはわからない。
けれど、嬉しそうな彼女を見ると私もなんだか嬉しく感じた。
“好意的な方が当然いいし、それに一人は確かにすぐに飽きそうだから”
ぴょこ、とエッダの前に飛び出した私はぎゅっと彼女の手を両手で握る。
「よろしくお願いね、エッダ」
「はいっ、もちろんでございます」
それが、私に専属侍女が出来た瞬間だった。
仕事で通った時に見えただけなんだ、と少し寂しそうな顔をしたメルヴィを再び仕事へ送り出した私たち。
せめて惨事にしてしまった廊下の掃除を手伝いたい、と言ったものの頑なに断られてしまい結局彼女一人で片付けた。
「私が魔法を失敗しなかったら……」
「ふふ、お可愛らしいと思いましたよ」
メルヴィが話を通しておいてくれたのか、掃除が終わったタイミングでメイド長に声をかけられたエッダは、そのまま私の侍女として付いてくれることになったらしい。
“折角だから、友達みたいになりたいわ”
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