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ファミレスでご飯を食べた
吉川さんは仕事終わりに、吉川さんの近所のファミレスへ、熊さんから呼び出された。
吉川さんが、ファミレスに入って、辺りを見回した。
すると熊さんが目ざとく見つけて、手を振って言う。
「ここだよ」
吉川さんが、熊さんのいる席に近寄る。
そして熊さんの横に、松本さんを見つけた。
吉川さんが、松本さんまでいる理由を聞いた。
「どうしたの? 二人でファミレスなんて」
熊さんが言う。
「俺等友だちになったんだ」
吉川さんが、二人の向かい側の席に座りながら言う。
「友だち? またなんで?」
熊さんが答えた。
「家も近いし、たまに遊ぶには良いだろう?」
「ふーん。そんなもんなの?」
「松本さんは、関東出身じゃないから、友だちがあんまり東京に方面にはいないんだってさ」
「へぇ、何処なの?」
松本さんが答える。
「九州です」
吉川さんは、九州に2度しか行った事がなかった。
だから全然九州を想像できない。
それで当たり障りのないセリフを言う。
「遠いね」
松本さんも、適当に返した。
「まぁ、そうですね」
熊さんが嬉しそうに言う。
「なんか、俺たちって、仲間って感じでいいじゃん? たまに集まって飯食うのもさ、良くない?」
寝たことのある男に、仲間呼ばわりされて、吉川さんは不満だ。
「何よ、仲間って」
「だってさぁ。吉川は、女って感じしないから。話していて、気楽じゃん? なぁ松本さん、そう思うだろう?」
「はぁ、まぁ。直球で話すので、僕でも、吉川さんの言いたいことが、わかります。女性って、遠回しに言うから、時々チンプンカンプンです」
「そう言う事よ。吉川ァ―」
ホトホト吉川さんは嫌になる。
メニューを見ながら吉川さんは言う。
「本当! それ褒めてないから。私のことけなしているから」
松本さんが吉川さんに尋ねる。
「しかし、仕事が終わるのが、いつもこんなに遅いんですか?」
吉川さんが言う。
「金曜日の夜だけは、閉店が22時だからさ。それで家の付近に着くのが、どうしても22時40分位になってしまうのよね」
「女の人が、このあたりの夜道を一人で歩くのは、危ないでしょう?」
すると熊さんが言う。
「吉川は、強いから、大丈夫だろう。背がデカいし。気も強いしなぁ」
吉川さんが怒って言う。
「うるさい」
松本さんがオロオロする。
「ちょっと、熊さんは言いすぎですよ」
熊さんがニヤついて言う。
「吉川なんて女じゃないんだ。平気。平気。華ちゃんなら危ないかも知れないが。吉川なら平気だ」
松本さんがますますオロオロする。
「ちょっと、熊さん……」
すると吉川さんが、松本さんに言う。
「いいよ。松本さん。良いの。私強いから。背も高いし。か弱くないから。守って貰う必要なんてないんだもの」
吉川さんが、呼び鈴を押す。
店員がやってくる。
「あ、私、ハンバーグと小ライスで。後ドリンクバー」
松本さんが心配した。
「ライスは小で足りるんですか?」
「最近、ストレスで食べられないんだよ」
ストレスの原因である熊さんが、吉川さんに尋ねた。
「へー、ストレスって何?」
吉川さんが嫌そうに言う。
「いいよ。ストレスの話はしたくないから。ドリンク取ってくるよ」
そして吉川さんが席に戻ると、熊さんは消えていた。
「熊さんは、何処に行ったの?」
「彼女に呼ばれて、帰りました。今日、華ちゃんの帰りが……、遅くなったみたいで……。迎えにぃ」
「はぁ! 私を呼び出しておいて、先に帰った??」
何故か松本さんが謝る。
「すいません……」
怒りの収まらない吉川さんは、持ってきたジュースを、一気に飲み干した。
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