インフォーメーションカウンターの惨事

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インフォーメーションカウンターの惨事

  吉川さんが出勤すると、藤井さんが吉川さんに話しかけた。  「また相澤ちゃんが、絡まれているんだよ」  吉川さんが相澤さんを見る。  すると、相澤さんが若い男3人組と、何か喋っていた。    吉川さんも、3人組の事は、知っていた。  「ああ、あの3人組ですか? なんかぁ、素行が悪そうな人たちですよね」  藤井さんが心配そうに言う。  「電話番号やら、ラインやら、聞いてくるみたいで……」  「相澤ちゃんは、可愛いですからね。愛想もいいから。お客さんがついその気になってしまうと言うか……」  「でも、今日は、いつもより長いなぁ」  相澤ちゃんが、絡んでいた男一人に、手を捕まえられた。  そして相澤ちゃんが、藤井さんを見た。  藤井さんが言う。  「ちょっと見てくる」  藤井さんが相澤ちゃんのもとに行く。  それを吉川さんが見て言う。  「藤井さんは、男あしらいが上手だから、大丈……、あぅ……」  藤井さんでも駄目だった。  男の一人が、藤井さんに暴言を吐いた。  「ババァはあっちイケよぉ」  藤井さんが、ババァ呼ばわりされて叫ぶ。  「ババァ!!!! ちょっとアンタぁ」  「客に向かってアンタ呼ばわりかよぉ。失礼だろう???? あん? ババァ」  吉川さんが焦って、カウンターからインカムに呼びかけた。  「すいません、インフォーメーションカウンターです。相澤さんと藤井さんが、若い男3名に絡まれています。警備の方、インフォーメーションカウンターに至急いらしてください」  そしてすぐ警備員達がやって来た。  若い男3人を、警備員3名と、総務の男2人が囲んだ。  そして、インフォーメーションカウンターの外で、揉め始めた。  通りすがりのお客様が、その様子をチラチラと見て行く。  若い男が言う。  「色目を使ったのは、そっちでしょう?」  総務の男が言う。  「お客様をご不快なお気持ちにさせてしまった落ち度は、確かにこちら側にもあると思います。申し訳ありませんでした」  もう一人の総務担当者が言う。  「ここではなんですから、事務所でお話をさせていただきたいと」  若い男が言う。  「行かないよ。絶対行かないから」  その謝罪を聞きながら。  相澤さんが震えた。  相澤さんは耳を塞いで、小さな声で言う。  「私は、色目なんか使ってないです」  藤井さんが、相澤さんの肩を抱いた。  「分かっているよ。ちょっと休んできて良いから。休憩室に行こう。吉川さん、ちょっと売り場離れて良い?」    吉川さんが言う。  「ええ、少しならなんとか、私一人で回します」  藤井さんが言う。  「私はすぐ帰ってくるから」  そして相澤ちゃんを休憩室に、藤井さんが連れて行った。  そして10分もすると、若い男と総務の男たちが、揉め終わり。  店の出口まで、総務の男と警備員達が、若い男たちに同行しながら、移動していく。  若い男の一人が、出口に向かいながら、インフォーメーションカウンターに叫んだ。  「吉川、お前が警備を呼んだのは分かっているんだからな」  「おまえは、吉川だって知ってんだからな」  そう言われて、吉川さんは震えた。  ――怖い――  吉川さんは、恐怖を覚える。    総務の男が言う。  「違いますよ。巡回していた警備の者が、お客様たちに気がついただけです」    総務の男や警備員たちに見送られて、男たちは、店から出て行った。
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