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勇運くんは、さっき、私と出会って「幸運」だと言ってくれた。
だけど、それは――私の力だけじゃない。
「私、小さな頃から四つ葉のクローバーを探すのが下手だったの」
「……いきなりだな」
「うん。でも聞いて」
ふふ、と笑った私に、勇運くんは口をへの字にしながら耳を傾けた。
「見つかるのはいつも三つの葉っぱで、一つ足りなくて。四つ葉のクローバーは、きっとないんだって。見つけられなかった時は、そうやって諦めてた。
だけど、私……
今、やっと見つけた気がする」
「……どこにも生えてないけど?」
「ふふ、そうじゃなくて」
お父さんのお墓を見る私。その視線を、追う勇運くん。
「私の苗字、”三”石の3。
勇運くんの苗字、”一”葉の1。
ほら、合わせたら――
ちゃんと4になるでしょ?」
「!」
「だからね、勇運くん」
私たちって、出会うべくして出会ったんだよ。
そして出会ったら最後、幸せになる運命だったんだよ。
私たちは一緒にいることで、幸運の四つ葉になれるのだから――
「だから私、今すごく嬉しいの。昔から諦めていた四つ葉のクローバーを、今やっと見つけることが出来たからっ」
目の前にいる勇運くんを見る。少し俯いているからか、あまり顔が見えない。
もしかしたら、四つ葉のクローバーなんて押しつけがましかったかな?なんて不安を抱く。だけど……私も勇運くんと一緒で。
自分の気持ちを隠す事は、もう出来なかった。
「私は、勇運くんといられることで幸せになれるよ。だから……こんな私だけど、
……って、わぁ⁉」
突然。
ぎゅっと、勇運くんに抱きしめられる。
それはスゴイ力で、だけど、なぜだか少し震えていて。そして、とても温かかった。
「バカだなぁ、お前……」
「ば、バカだもん……」
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