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『おーい、レイ、帰ってきたんだけど、何してるのか聞いても良いか?』
「なにって、見たら分かると思うけど」
僕の下には燃えている街がある。これまで過ごしてきた学園も、みんなで遊びに行った店も市場も全部。
「あ、あそこ燃えてない。『ファイア』」
打った魔法は教会のようなものに張られている結界に弾き飛ばされた。
破壊するのもめんどくさそうだなぁ。
全て飲み込んでしまった方が早いかなぁ。
「全てを飲み込む闇『待て待て待て、違う、なんで急に街を破壊してんのかって聞いてんだよ、俺は!』
「………だって、友達になったし」
『いやー、ここまでお前の言いたいことがわかんねぇの初めてだわ。友達になったからなんだよ』
「友達なら僕の大切になったってことだよね。だったら殺してしまえばみんなずっと僕のものじゃん。離れることも裏切ることもないままずっと僕の記憶の中で生き続けるよ。それが普通なんでしょ?楽しいことを最大限楽しんだら殺して魂ごと自分のものにするってフィルが言ってたし。でも、僕は魂をどうにかすることは出来ないから、フィルがとってきてくれるんだよね?だって、僕の悪魔でしょ?」
『いや、まぁ、それは良いんだけどな?』
フィルはすぐに僕の元にみんなの魂を持ってきた。
丁寧にちゃんと僕にも魂が見えるようにしてから。
ただ、それを渡してきた時のフィルに違和感を覚えた。
フィルを捕まえて目を合わせる。
「フィル、なんで僕に怯えているの?」
僕を見つけたのは、僕に取り付いたのは君だよね。
………フィルから僕に興味を持って声をかけてきたくせに。
「なんでそんな目で僕を見るの?」
僕は君に教えられた通りに行動しただけなのに。
君は悪魔でしょ?僕よりも暗い深淵にいるべき存在でしょ?
「フィル」
君が、僕なんかに怯える必要もない存在が、なんで怯えているの?
………僕はそんなに不気味なのかな?
ずっと一緒にいても分からないほどに。
そう考えていた僕の顔がどんなだったのかは分からないけど、フィルの空気が変わったのに気付いた。
『…………だぁー、もう!俺の教え方が悪かったんだな!?そうだろ?とりあえず、他の街に移動すんぞ、そっから改めて常識を教え込んでやるからな!』
フィルは僕の手を振り切ってから大声をだして、僕の腕を掴んで黒い渦の中に押し入れる。
すぐにフィルも入ってきたけど、その時フィルの体の隙間から見えたのは
……広い街の全てを暗い闇が包み込んでいる光景だった。
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