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玉座の間を後にした僕はヘルカさんについていくことになった。
地面は大理石、壁は煉瓦、天井は白い・・・なんだろう。
分かんないや。
なんだかちぐはぐした建築っていうのが第一印象。
ヘルカさんはその壁の煉瓦を一部分を押し込んだ。
すると・・・
ガタッガタッガタッガタッ
と、揺れながら煉瓦がひとりでに動く。
「地下?」
ヘルカ「そう、魔力の研究はとてもデリケートで門外不出。
口外したら極刑は免れないわ。」
ゾワアアアアアアアアアア
普通に背筋逆立つんですが、それは・・・
ヘルカ「さて着いたわ、魔力覚醒部屋よ。」
螺旋階段を下りていく間にいくつか途中で分かれ道があったがそのすべてを通り過ぎてたどり着いたのは最下層だった。
そこの鉄製の重々しい扉をこじ開けて中に僕を入れる。
中はどう見てもバイオ実験施設だ。
ナニカの生き物らしいものが液体の入ったカプセル内に閉じ込められて泡を吹いている。
・・・どこかで見たことがある容姿だ。
あぁ思い出したあの赤い世界、魔界で見たんだ。
ヘルカ「それ気になる?私も今研究中でそれが何なのか分かっていないのよね。ただ一つ言えることがあって、それに蓄えられている魔力は凄まじい力をもっているってことくらい。」
・・・
ヘルカ「さ、今度はこの水晶に触れてみて?」
「触れる?」
ヘルカ「これは測定器ではないの。触れたものの身体の奥に眠る魔力を呼び覚ますものなの。」
「へぇ」
よく分からないけど、触れてみた。
すると、まばゆい光が目をおそう。
「まぶっ」
ヘルカ「・・・魔力が無いってことは無いの、ただ体の奥に眠っているだけで・・・
今起こしたわ。
さぁ、もう一度魔力測定器の出番よ。
手をかざして見て?」
先ほども見た色とりどりの渦が巻いている不思議な水晶。
僕は手をかざしてみた。
今度は青い渦がどんどん大きくなって水晶全体が青に染まった。
ヘルカ「うっそ、たったこれだけ?」
「へ?」
ヘルカ「トモ、貴方の魔力。赤ちゃん以下よ!」
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