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2’
寝室に戻ると、寝息は聞こえなかったが美嘉は寝ているようだった。
太ったから指輪がなかなかハズレない、なんて言ってたのに無理矢理に外したってこと?
確か今日は仕事の後に陶芸教室に行くと言ってたっけ。
瑛士も小学1年生になって手が離れてきたので習い事に通うね、と先週楽しそうに話していた。
通っている友達からの紹介で『先生、同じ歳くらいでイケメンなんだって~。』とケラケラ笑っていた。
まさかその先生の為に外したの?
そんな軽薄じゃないと思っているけど、すでに僕に愛想を尽かしていたら?
結婚して10年くらいか。
仲良くやってきたと思う。
僕は家事はあまりやっていない。
元は同じ会社だったが出産の時に退職し、瑛士が3歳の時にまた働き始めた。
パートとはいえ共働きだ。
『働く時間が短いから大丈夫よ』と笑った美嘉に甘えていた自覚はある。
ありがとうは言っていたつもりだけど、伝わっていただろうか。
それに付き合っていた頃より太ったし、昔からそんなにおしゃれでもない。
美嘉は歳より若く見えて可愛い。
『あーあ、太ったなー』なんて言ってるけれど、それがまた可愛らしさを増している。
話しも上手で屈託なく笑い、それが人を惹きつける。
会社の中でも人気だった。
僕も意識はしていた。
だから美嘉から誘われた時、心底ビックリしたんだった。
どうしてオタクっぽい僕を誘うの?と会うたびに聞いてしまった。
『そんなに理由が必要ですか?』とちょっとムッとした顔に愛しさが募り、僕から交際を申しこんだ。
美嘉は僕のことに興味津々で、話が尽きなかった。
それが嬉しかった。
僕の趣味だったカメラも一緒にやり始め、撮影旅行によく出かけた。
今では僕より瑛士の写真を撮っている。
しばらく忘れていた馴れ初めから思いを巡らせ、無償に息苦しくなった。
すぐにでも起こして滅茶苦茶に抱いてしまいたい。
…僕の中にもこんな情熱があったのかー。
今まで知らなかったのは、美嘉が僕を大事にしてくれたからか。
でも今情熱のまま動いたら、疚しさを誤魔化す感じになってしまいそうだ。
頭の中の僕が窘める。
とりあえず明日指輪を探してから。
火照る頭と体を無理矢理ベッドに押し付け、眠れない夜を過ごした。
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