地味より色気。

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「別れてほしい。好きな人ができた」 大学2年から同級生同士で付き合って10年。 お互い就職し仕事も慣れてきて、そろそろ結婚と思っていた。 しかし30歳で私は彼に振られた。 理由は真面目な彼が仕事の接待でキャバクラに行ったのが始まりだった。 23歳の若くて可愛いキャバ嬢に褒められてドツボにハマったようだ。 沼るどころじゃない。 「結衣子は美人だけど真面目すぎて物足りない。けど聖奈ちゃんは23歳でも色気があるし話しても楽しい。やはりずっと生活していくなら穏やかよりメリハリが大切だと思う」 彼の真田健斗は今更もっともらしく言った。 30歳でキャバ嬢に沼る男。 真面目で好青年な彼だったが、今はただの派手なキャバ嬢好きになった。 「あっそ。せいぜい貢いで泥沼に埋もれればいんじゃないの。どーせ私は色気がないですよ!」 彼から誕生日に貰った指輪を投げ捨て、パンプスで踏み潰してやった。 健斗は怒りをあらわにした私に驚いていた。 まだ怒りが収まらず、今度は何年か前に貰った腕時計も外して地面に叩きつけ、ガンガンとパンプスで気が済むまで踏んでやった。 そしてボロボロになった腕時計にツバを吐きかけ、健斗に向けて蹴っ飛ばしてやった。
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