第四十七話 嘘

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「一口ちょうだい!」 「仕方ないな……ほら」 「あー……ん⁉︎」  陽向は期待な笑みで大口を開けた途端、祐介は伸ばした手を引っ込め、アイスを頬張った。 「ん……コーヒーの苦味とバニラの甘さがマッチしてる」 「ユウ、性格悪いぞ!」  悪戯(いたずら)っぽく笑う祐介に、陽向は(ふく)れっ面になる。 「あ、おい」  祐介は次の一口を口に運ぼうとした時、陽向は祐介のアイスを持つ手を掴み、隙をついて頬張った。 「一口でかいぞ」 「さっきのおかえし~」  ニシシッと陽向は仕返しとばかりに笑うと、祐介は「たく……」と微苦笑を浮かべる。 「ねぇ、ユウ……」  陽向の声が()いを帯びる。 「何だ?」 「……ごめんね。おれに気を遣ってくれたんだよね……。決行の日だから、不安でいっぱいでさ……」 「今までと違う戦闘になるからな……俺だって不安だ」 「あはは……不安になってるのは、おれだけじゃないよね」 「陽向」  陽向が苦笑を浮かべると、不意に祐介が真剣な声で名前を呼んだ。 「何?」 「お前、『本当』は何が不安なんだ?」 「……! え? ユウ、何言ってるの?」 「ごまかすな……夕凪の件もそうだけど、同時に何かを隠していることに俺が気づいていないと思ってたか?」 「…………」  見透かすような視線が突き刺さり、陽向は戸惑いの表情を浮かべた。
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