第一章 支配者クロノスの栄光

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 そんな中、ゼウス、ポセイドン、ハデスの三兄弟は地母神ガイアの元へと戦争終結の知恵を借りに世界の端へと行くのであった。 「地母神ガイア! クロノス達ティターン神族はこの十年一歩も引きません! これでは地が持たん時が来ています! 戦争終結のための知恵をお貸し下さい!」 「あたしとしてはどちらが勝とうとあたしの子なんだからどうでもいいんだけどねぇ」 ガイアは投げやりだった。息子が戦に勝つか、孫が戦に勝つか。そんなことはガイアにとっては些細なことだったからだ。 「そんなことを言わないで我々に味方をして下さい!」 「孫の頼みは断れないよ。あたしとしても、あたしの体である大地をこれ以上削り取られては困るし…… 一気に戦いを終わらせる味方と武器をアンタ達に授けるよ。戦略兵器と言っても良い」 「我が子、ヘパイストスの武器より強い武器がこの世にあると言うのですか?」 「あるよ。ただし、取りに行くのが面倒だけど……」 「どこでも取りに行きます!」 「あなた達の叔父にあたる、キュクロプスとヘカトンケイルと言う者達がこの大地の地下にいます。クロノスの弟になりますね」 「大地の地下に叔父上を迎えに行けばいいのですね」 「ええ、でもそう簡単ではないの。お婆ちゃんね、実はもう一人子供いるの」  一体何人子供いるんだこの地母神様は…… ゼウスはお盛んですねと言いたげに含み笑いを浮かべた。私の女好きの気性の原点はこの人にあるのは間違いないと思うのであった。 「あそこにいるウラノスはあたしの他の息子をキュクロプスとヘカトンケイルを逃さないための番人に仕立てたんだよ」 ウラノスはなくなった男の象徴(シムボル)を偲びながらぽつんと佇んでいた。 天空のそのものの宇宙の外套(マント)もいつの間にやら重さを持ち、それを支える怪力無双の男が誰かいないかなと考えているのであった。 「その番人の名は」 「カムペー。タルタロスって言うあなた達の遠い叔父さんとの間に出来た子供よ」 カムペー。タルタロスとガイアとの間に生まれた女の怪物。下半身は蛇、漆黒の翼、頭には蠍の尾を持つ怪物である。 「しかし、神の子であれば不死身なのでは」 「そうでもないのよ、あの子はなぜか不死身じゃないわ。キュクロプスやヘカトンケイルを食べようと虎視眈々と狙っているわ」 ちなみにキュクロプスやヘカトンケイルも不死身ではない。
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