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お嫁さんがやってきました
栄一郎がお嫁さんを迎えにいってしまったので、わたしたちは待っていた。
その間、わたしはちょっとおしゃれなドレスに着替えた。旦那様も、やはり息子のお嫁さんが来るということで、スーツに身を包む。
しかし。
「あのね、そんなかっちりした服着てたら、向こうがプレッシャーになるでしょ!」
夏子の一言でわたしたちは元のエプロン主婦とポロシャツ旦那様の格好に戻った。
それにしても何かしてないと落ち着かないわ、と思ってたら。
「あ、みんなで結婚祝いにケーキでも焼いてあげようよ!」
その咲美の一言で、わたしと夏子と咲美はケーキ作りを、旦那様は折り紙で輪っかを作って、パーティーみたいに飾りつけをしていった。
夏子と咲美はケーキを作りながら栄一郎のまだ見ぬお嫁さんについて、楽しげに想像を膨らませていた。
「ねえ、栄兄ちゃんのお嫁さんっていくつくらいかな。もしかしたらお姉ちゃんより年上だったり?」
「さあ? でもきっと同い年か年下じゃない?」
「何で分かるの?」
「んー、何となく年上を連れてくる気がしないのよねー」
「ああ、お兄ちゃんしょっちゅうお姉ちゃんにからかわれてるから、年上嫌かもしれないねー」
「あー、こら言ったわね!」
「きゃははー」
こんな具合である。
そこでピンポーン、と音が鳴った。
「私見てくるわ」
インターホンのカメラを見ると、栄一郎だった。
「開けてー」
鍵はどうした鍵は。
「手が塞がってて、開けられないんだよー」
全く……。
わたしはドキドキとほんの少しの期待を胸に抱いて玄関に向かった。
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