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王子と姫
とある国の王子が若くして病気で亡くなった。彼は王になるはずだった。しかし、王位を継ぐ前に持病が悪化してしまったのだ。数日前に王も他界してしまい、王妃は寝込んでしまった。これでは政治を任せられない。
王子には弟がいた。しかし弟はまだ7歳で、王となるには幼すぎる。
こうして王の席は空いたままだった。
そこで王家は腕の良い職人に頼み、ロボットを作った。亡くなった王子と同じ姿、そっくりな声。最新技術を用いて作られたので効率よく仕事をする。
それが僕。僕は亡くなった王子の代わりに王を務める。7歳の弟が王にふさわしい年齢になるまで……
忙しい日々だった。書類の整理、町の偵察、来客の対応……しかし、僕は疲れを感じない。睡眠も食事も必要としない。夜だって働けるが、寝静まった夜にロボットの僕がガチャガチャと動くわけにもいかないし、充電も必要だ。この国は電気が発達し始めたばかり。少ない電力を皆で分け合って使っているが、僕の充電のためにかなりの電力を使っている。そのことに不満をあらわす国民も多い。もちろん機械に国を任せられないという声もよく聞く。早く時が経ち、弟が成人してくれれば……
「ごきげんよう」
ある日、隣の国の姫が訪ねてきた。彼女は亡くなった王子の幼馴染であり、婚約者でもあった。この城へいらっしゃったのは王子のお葬式以来か。
寝込んでしまった王妃のお見舞いした後、王子の弟と遊ぶために来たようだ。そしてお帰りになるのは明日だという。僕は仕事に忙しく、あまりお相手ができなかった。
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