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8月28日
8月28日
夏休み二回目の模試の結果をお母さんに見せた。
成績は前の模試よりは良かったけど、それでも喜べるものではなかった。
だけど、お母さんは、前みたいにぼくをどなりつけることはしなかった。「もっと勉強にはげみなさい」とだけ言った。
その時、ぼくは気がついた。
お母さんにとってぼくは、お父さんへの復しゅうの道具だったのだと。
ぼくをよい学校に入らせて、出世させることで、家に捨てたことを後かいさせるために、ぼくに勉強をさせていたのだ。
だから、お父さんが会社をクビになったことで、ぼくをつかって復しゅうする必要がなくなったのだ。
ぼくの一番の敵は、お母さんだった。
お母さんが、ぼくにむりやり勉強をさせるから、かんた君たちと一緒に遊ぶことができなかった。
お母さんといたくないから、お父さんは、仕方なくぼくもいっしょに家において出ていってしまった。
お母さんさえいなければ、ぼくは今よりもっと幸せに暮らすことができていた。
お母さんさえ、いなければ。
ぼくは、部屋に閉じこもり、そして、Xを手にとった。
もうXは白色の部分は少なくなって、ほとんどが青色の模様、一部に赤色の模様が目立つ色合いになっていた。
ぼくは、そんなXに向かって、この家の場所やお母さんについての全て、そして、お母さんこそが、ぼくを不幸にしたことを、泣きながら言った。
Xは、何も言わなかった。
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