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8月30日
8月30日
昨日から、お母さんが、部屋から出てこなくなった。
ぼくは、こっそりとお母さんの部屋をのぞいた。
部屋は、今まで見たことないほどにあれていた。多分、お母さんがあばれまわって、物を投げまわしたり壊したりしていたからだ。
お母さんは、ふとんにうずくまって震えていた。
なにかぶつぶつと言っている。ぼくは、耳をすまして、何を言っているのか聞き取ろうとした。
「ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください。ごめんなさい、もう許してください」
何度も、謝罪の言葉をくり返していた。
なんでお母さんが、謝っているのか、何に謝っているのか、今のぼくにはわかる。
おとつい、ぼくが、Xにお母さんのことをしゃべったとき、今までよりも、赤色の模様が多くなった。それだけでなく、今まで青色だっただ円形も、赤色に変わっていった。
昨日になると、青色の模様よりも、赤色の模様の方が圧倒的に多くなっていった。
「お前が、消えろ」
「甘えすぎ」
「被害者ぶってるだけじゃん」
「自業自得でウケる」
「はやく、ママから卒業しようね」
「クソガキ」
「はやく、死ねよ」
赤色の模様が増えるほど、ぼくへの悪口が増えていき、Xからの言葉は、すべてぼくへの悪口に変わっていった。
もう、Xはぼくの味方じゃなくなっていた。
今日の朝、Xを捨てにいった。
このXとそうぐうした、あのゴミステーションに。
だけど、Xからの言葉は止まらない。
今も、Xからの言葉で頭の中がいっぱいで、おかしくなりそうだ。
もう、やめて。ぼくの中から出ていって。
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