Count,13 ラストバージン

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事の始まりは、昨夜掛かって来た母からの電話だった。 相変わらず私の結婚を諦めない母が、懲りもせずにお見合いを勧めて来たのだ。 榛名さんがお風呂に入っているからと油断していた私は、一向に諦めを見せない母と軽い言い合いをしてしまって……。いつの間にかお風呂から上がっていた彼に、電話の一部始終を聞かれてしまっていた。 本来、恋人がいる事を伝えていれば問題はなかったのかもしれないけど、未だに両親には榛名さんとの事を話していない。 理由は、彼との関係には〝約束された未来〟がある訳じゃないから。 まだ付き合ったばかりだという事もあるけれど、榛名さんからは一切結婚の話は出ていない。 そんな状況で下手に両親に彼との事を話せば、期待されたり先走られるのは目に見えている。 だから、実家に行くのを避け、榛名さんとの事も隠していたのだけれど……。 「大体、葵がご両親にちゃんと話していないから、こんな事になるんだろ」 彼はそれも気に入らなかったらしく、昨夜から少しばかりご立腹なのだ。 「俺はとっくに葵の事を親に話したのに」 その証拠に昨日は中々寝かせて貰えず、今朝は体のあちこちが悲鳴を上げそうになっていた。
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