Count,13 ラストバージン

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「という訳だから、拒否は一切認めないよ。葵のご両親も、了承してくれたんだしね」 「それは……」 母には『友達を連れて行く』と話したなんて、まさか言える訳がない。 きっと、お見合いの事を話したいだけなのだろうと予想は出来たけれど、あっさり快諾した母が恨めしくなった。 それでも、榛名さんには絶対に譲らないと言わんばかりの姿勢を貫かれ、もう覚悟を決めるしかないのだと諦めた。 「一時間もあれば、支度出来るよね?」 「うん……」 まだ八時を過ぎたばかりの時計に視線を遣り、憂鬱な気持ちのまま小さく頷いた。 そんな私を余所に、榛名さんはようやく機嫌が直り始めたようで、満足げにコーヒーを飲んでいる。 「どうなっても知らないからね……」 「何が?」 恨めしげに呟くと不思議そうにされて、呑気な表情にムッとしてしまう。 「別に」 思い切りそっぽを向いた私は、昨夜の事も含めて不機嫌だとわかって貰えるようにわざとらしく腰を摩った。 「明日が夜勤で良かったね。今夜もうちに泊まれるし」 だけど、私のささやかな反抗すら窘めるような悪魔の囁きが耳に届いて、言い知れぬ恐怖に怯えた体に悪寒が走った――。
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