月夜に

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月夜に

「エリ。可愛いよ。僕のお嫁さんになってくれてありがとう。」 結婚式は、満月だった。二人はともに25歳。  二人は幼馴染で、小学校からのおつきあい。  両家は、どちらも結構な名門のお家で、二人がつきあう事に誰も反対はしなかった。  エリは小さなころから、綺麗に真直ぐな黒髪を伸ばして、今は腰位まで長さがある。綺麗な切れ長の目。整った唇。ツンと尖った鼻。 勿論、小さなころからきちんとしたものを食べているので、健康だが、決して太ったりもしていない。  サトシも小さなころから、柔らかな茶色かかった髪をいつも清潔に整え、必ず朝は、水のついたブラシで、寝癖を直し、きちんと分けていた。アーモンドのような目。女の子の様にふっくらした唇。綺麗に整った程よく高い鼻。 勿論、小さなころからきちんとしたものを食べているので、健康だし、スポーツにもいそしんでいたので、細身だがしっかり筋肉がついている。  名門私立の幼稚舎から仲良しな二人は両親も、ともに仲が良く、将来は結婚してくれればねぇ。等と話していた。  エリとサトシは今時珍しく、結婚式まではSEXをしないと決めていた。お互いに、ずっと相手の事しか見ていなかったので、記念にぜひ結婚式に初夜を迎えたかったのだ。  その通りに、他の大学生がどんどんと初めてを卒業していく中で、清い付き合いを続けた二人は満月のこの日、結婚式をして、初夜を迎えたのだった。  サトシはエリに先にシャワーに入っておいで。と優しく言って、整えられたスイートルームのベッドのカバーを外し、二人がこの後、入りやすいようにした。  エリは、バスルームから出ると、用意されたバスローブを着て、部屋へ戻った。さすがに25歳。同級生はみんな男性関係があるので、話には聞いていたが、今夜、自分が初夜を迎えるとなると、緊張するものだ。  サトシは俺もシャワー浴びてくるね。と言って、エリには、冷えたシャンパンを継ぎ、ソファーでテレビれも見ていてね。と言って、シャワールームに向かった。  テレビという気分でもないので、エリはシャンパンを持ったまま、ベランダに出てみた。 満月がエリを照らす。  シャワーから出てきたサトシは、バスローブを着ると、一瞬エリを探したが、すぐにベランダにいるエリを見付けて、サトシもシャンパンをもって、ベランダに出てきた。 「綺麗な満月だね。エリが輝いて見えるよ。」  そうして、最初のセリフに戻る。  二人はベランダで、シャンパンを軽く「チン」と合わせ、二人だけで乾杯して、ベランダのテーブルにシャンパンを置くと、サトシはエリを軽々と抱き上げて、ベッドまで運んだ。  サトシも初めてだが、そこは一応勉強はしてきている。自分もエリも恥をかかないように、男としてリードしてくれた。  エリは、バスローブを脱がされるのも恥ずかしく、前をはだけられ、全てがサトシの目に晒されると、顔を隠した。  顔を隠したので、エリの裸体は、全てサトシの目の下に晒された。  均整の取れた、美しい大人の女性の身体だ。  サトシは、優しくエリの裸体に触れ、エリはサトシにされるまま、胸の前で手をぎゅっと握っていた。  健康な大人の男と女である。経験は初めてでも、サトシの優しい愛撫でエリも昂って来た。  胸を優しく愛撫され、たまらなくなって小さく喘ぎ声をあげると、サトシは、我慢できないように、エリの初めて開かれる部分をそっと触った。 「あ・・」 エリも覚悟を決めたのだろう。そっと膝を開いて、サトシが入れやすいようにした。 「いいかい?」  エリが、ちゃんと濡れていることを確認して、サトシはそっとエリの中に入っていった。  エリが思っていたより、ずっと大きいし、熱い。少しだけ挿入したところで、エリは思わず声が出た。 「ん・・痛・・痛いわ。」 「どうする?やめる?大丈夫かい?」 「大丈夫。友達も最初は痛いって言っていたから。お願い続けて。サトシと一つになるのね。」 「エリ。そっと進めるからね。」  サトシはじぶんも女性の中など初めてで、柔らかさに驚き、思い切り進めたい衝動があったが、エリの為に少しずつ自分の腰を進めて行った。 「痛・・んん・・」 「エリ・・エリ・・もう半分は僕のが入ったよ。」 「サトシ、入れて頂戴。きっと我慢できるわ。」 「よし、全部入れるよ。」  サトシはグイッと腰を進めると、エリの中にすっぽりと入ることができた。 「エリ、全部入ったよ。少し動くのをまとうね。エリの中が慣れるまで。」 「ありがとう。こんなに静かに優しくしてくれて、怖かったけど、サトシとだったら、大丈夫だわ。うん。さっきより痛くない。サトシを感じるわ。熱いのね。動いて良いわ。」 「じゃ、動くよ。最後まで行ってもいいかい。僕も初めてだから、もう、いってしまいそうなんだ。」 「サトシの子供ができるかもしれないのね。良いわよ。」  サトシはようやく我慢から解放されて、それでも、最初はゆっくり、そして、エリがそのうち大分濡れてきたので、腰の動きを早めて、動いた。 「ぁ・・あぁ、サトシ、何だか不思議な気持ち。サトシが動くと・・」  育ちの良いエリはそれ以上は言えなかったが、明らかに初めてなのに感じていた。 「僕も、もう我慢できない。う・・うぅぉぉ」  サトシは小さく咆哮をあげて、腰を突き上げ、エリの奥に向かって自分の目的を達した。  サトシは、エリの上に乗って、重くないように少しだけ身体をずらして、ベッドに倒れ込んだ。  エリは、優しいサトシ以の行為のおかげで、破瓜の痛みは感じたものの、初めての快感と、サトシの精が入ってくるところまで、感じることができた。その時、スイートルームの窓の外から、ベッドの枕元に、満月から月の橋がかかった。  小さなウサギが背中に何かを背負ったまま、ピョンピョンと飛んでくる。  サトシは、緊張と、初夜を無事に終えられたことで一瞬の眠りに入っていた。  エリは、サトシから貰った快感と精で興奮状態で、眠るどころではない。一瞬眠っているサトシの頭を愛しそうに撫でた。  満月から繋がったその橋を渡るウサギは、どうやら、小さな珠のようなものを運んできて、そのままエリのおなかの上に乗せると、不思議なことにその珠はエリのおなかにスゥッと消えて行った。 「あら、これはきっと赤ちゃんなんだわ。私達、初めてのSEXで赤ちゃんを授かったんだわ。」 「ふふっ」  と、自分の笑い声で目が覚めたエリは、月の橋を探したが、窓から見える大きな満月にはもう、橋はかかっていたなかった。 「夢?かしら。でも、きっと正夢。お月様が遭遇させてくれた何億分の一の私たちの赤ちゃんよ。」  サトシは、一瞬の眠りから覚めて、 「ごめんよ。寝てしまった。身体は大丈夫?」 「えぇ、サトシがあんなに優しく頑張ってくれたおかげよ。それでね、私、今夜きっと赤ちゃんができたと思うの。」  そう言って、さっきの不思議な出来事が夢かどうかは分からないけど。とサトシに話した。  エリよりも現実的なサトシは、きっとエリも緊張と、安堵で一瞬寝ていたんだろうと思ったが、 「赤ちゃん、できていると良いよな。初めてのSEXで結婚初夜の赤ちゃんなんて、なかなかないことだもんな。」  と、優しく言うのだった。  それから、2か月ほどして、本当に赤ちゃんを授かっていることを知った、二人と、両家のお祖父ちゃん、お祖母ちゃんになる人たち。  この月兎との遭遇のお話をいつまでも忘れる事はなかった。 【了】
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