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新発見の惑星について論文が発表されるのと同時に、地球の領土に組み込まれることが宣言された。すると、銀河中の星々から批判が押し寄せた。「なんの話合もなしに、勝手に自分の物にするな」とか、「無闇な採掘は、自然破壊だからやめろ」とかいうような内容だ。でも、そんなのは建前だった。どこの国の政府も、心の底では、惑星を自分の物にしたかったのだ。
ある国の軍隊がダイヤの星に乗り込むと、いよいよ、領土をめぐる戦争が始まってしまった。はじめは、惑星の上に陣取って睨み合っているだけだったが、やがて、お互いの星に爆弾を落とすようになった。広い宇宙にたった一つしかない、歴史ある建物が壊され、どんな宝石よりも値打のある、たくさんの命が奪われた。
戦争に金を注ぎ込みすぎて、どちらの国も貧しくなってきた頃。しびれを切らした一方の国が、ダイヤの星めがけてミサイルを発射した。飛び散った星のかけらを、あとで拾い集める目論見だったが、彼らは大変なことを見落していた。ダイヤモンドは炭素でできていて、よく燃えるのだ。宝の星はあっという間に燃え尽き、ぐずぐずの炭の塊になってしまった。
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