*星空のダイヤ*

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 大粒のダイヤを拾い上げ、地質学者が皆に言った。 「ダイヤモンドでできた恒星や惑星は、今までにいくつも見つかっていましたが、遠すぎたり、暑すぎたりして、掘り出すのには向きませんでした。その点、この星はおあつらえ向きです。地球から近いので、運ぶのが安く済みます。暑くもなく、寒くもありません。藻類が酸素を吐き出すおかげで、このように息もできるのです」  星の発見者である天文学者が言った。 「この惑星は、我々には大きすぎる。とても使い切れないし、使い切るべきでもないだろう。まずは、周りの星々とよく話し合うべきだ。ダイヤは必要な分だけ採掘しよう。平等に分け合って、皆が豊かになれるように――」  彼の言葉を遮るように、役人が言った。 「この星を切り崩して銀河中に売り捌けば、大儲けできる。我が国の領土にして、ダイヤを独り占めしよう」
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