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看護師千歌の巡回
千歌は今夜も夜勤をしていた。
21時ー定時の巡回の時刻で患者さんたちに消灯を告げるためまずは3号室へと向かった
「こころくん、ゆきくんもう寝てる?」
「ちかちゃんっ」
ゆきが声を弾ませ起き上がった。
千歌はゆきの頭を優しく撫でると、棚の扉を開けてローションの減りを確認し
「あれ?ゆきくん…ローション減ってないよね?だめっ」
「う…ごめん。だって」
「紫藤先生怖いよ?ちゃんとやろうね」
「うん」
「でも…今日はつらかったみたいって伝えておくね。あ、だけどちんちんだけでも触っておきなよ?」
「分かった」
「よしよしおやすみね」
千歌はゆきの頭を撫で、こころの近くへと寄る
「こころくんは?…寝てるね」
布団の中に手を滑り込ませ
「ごめんね。チェック」
「…んんっ痛ぁ」
「ごめんごめん。ちゃんと入ってるね。頑張ってる。12時の巡回まで我慢だよ?おやすみ」
こころの頭を撫で電気を消して退室した。
続いておとの部屋へと向かった
高熱が出ていたが大丈夫だろうか?
「おとくん?」
規則的なリズムでスヤスヤ寝ている
起こさないようにそーっと検温を済ませ、おとの頭を撫でると電気を消して部屋から出た。
最後にかおるの部屋へと向かう。
が、少し…苦手だ
「あ?何?」
部屋に入るなりギロリとにらまれた。
怖い…
「えと…消灯」
「で?」
「だから…あの、電気消して、寝てほしい」
「は?まだ9時で寝れるかっつーの」
かおるはペンを置き、眼鏡をずらし千歌を睨んだ
「執筆の邪魔。締切近いんだよ」
「小説も大事だけど体はもっと大事」
「あのさ…締切落とすわけにいかねーの。仕事、手ぇ抜けないあんたらと一緒だから。分かったら出てけ」
「おしっこちゃんと出てる?自己導尿やれる?」
「うるさいなぁ」
「尿道形成までいかなくても治るんだよ?がんばろう?」
「そういう熱血なのって大嫌い。てゆーかいつ退院できるわけ?佐久間に言っておいて」
「分かった。あと一時間でおしまいにしてね?」
「あーはいはい。たくっ…」
ぶつぶつ言うかおるの部屋から出て、千歌はナースステーションへと戻った。
「はぁ…」
千歌はため息をつきながらステーション処置室に向かいお道具カートを引き寄せベッドへとズボンを脱いで座った
鈴口を消毒し、カテーテルの袋を剥いて中からカテーテルを出し表面麻酔入りの潤滑剤を塗り、自身の中へと差し込んだ
「…ぅ…ぐ…っ〜…痛…はぁ…はぁ」
痛みに耐えながら膀胱へと進め、尿を出した
カテーテルを抜き取り捨てると力が抜ける
毎夜の欠かせない自己導尿だが辛さに涙が浮かぶ
「本当いや…」
コテンと横たわり、千歌は力無くつぶやく
「千歌?」
呼ばれて見上げると佐渡が立っていた
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