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柚子が俺の太腿をジーンズの上から撫でてくる。
「秋山さん、なんかスポーツしてたでしょ? 背も高いけど体幹鍛えた感じでイイ筋肉付いてるなぁってずっと思ってたの」
耳元で囁かれた俺は、
「欲求不満か、お前は」
と柚子の頭を軽く叩いた。
「やーん、スタッフに暴力ー! パワハラ―」
「うるせ。とっとと部屋に入ってオ×ニーの準備してろ」
「今度はセクハラ―!」
「どこがだよ、それがメインだろ、チャットの」
「わたしは一人Hのフリしてるんですぅ」
心底どうでもいい。
まだ、何やら反論してくる柚子をシカトしていたら、事務所の入口から高津先輩ともう一人スタッフが入ってきた。
「おい、お前らうるさいぞ! 廊下にまで丸聞こえだ。破廉恥きわまりねぇ」
「そーだぞ。一応このビル、同じ階にフツーの会社入ってんだから」
シー、と人差し指を立てて柚子に注意しているのは、俺の同級生、タケルだ。
高校を三年になる前に中退し、それからこの【エイビス】に入って、俺をこの業界に引っぱった男。
「ね、タケルさんは同級生なんでしょ? 秋山さんて昔からなんか運動してた? ラグビーとか柔道とか相撲とか」
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