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——インテリ、か……。
高卒の俺を高津さんがそう呼ぶのは、中退したものの、一応、大学には進学したから。
入学式の日に退学届けを出した俺を、
「もうお前なんか知らん!」と親は勘当した。
その後、昔からつるんでた仲間と、半グレグループ【エイビス】に入り、はや二年。
アダルトチャットのシステム管理や、チャット女優のスカウト、フィッシング詐欺のメールと多様なシノギを行っている。
「おい、配信中は手ぇ空くだろう? ワンの奴とスカウトに行ってこい」
遅れてきた柚子のチャット配信が始まると、高津さんが俺と中国人のワン・カイに顎で命令した。
「ワカリました、タカツさん!」
まだカタコトであるが、日本語を話せるワン・カイは不法滞在者だ。(政府による移民政策で、外国人の長期滞在はそう難しくないはずなのに、何か事情があるのだろう)
彼とはわりと何でも話すが、理由は訊いたことがなかった。
「もう! コウスケさんてばそんなに焦らないでぇ♡いっぺんに脱いだらつまんないでしょ? 先に乳首見せてあげるからぁ♡」
客に甘える柚子の声が、チャットルームから聴こえてウンザリする。
世の中の男は、ああいう媚びた女優でも喜んで投げ銭をするらしい。
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