104人が本棚に入れています
本棚に追加
私の両親に会いたがっていたのに、自分の家族のことは教えたくないなんて、不平等じゃない?
「出身は大連市なんだよね? どんな街なの? 私、中国はおろか海外旅行って行ったことなくて……」
「お父さんは航空会社に勤めてるのに?」
そこで関係のない話が出て、私は頼んでいた梅酒を飲み干した。
やっぱりこの人は、私より “家 ” に関心が強いらしい。
「航空会社でも、お父さんはメーカーだから」
「竜也はどうしてお父さんのような仕事に就かなかったんだろう?」
「どうしてって……お父さんは会社員だから。経営者じゃないもの」
「でも幹部なんだろ? コネで入社できるんじゃないの」
「……」
私はそれに答えず、店員を呼んでサラダと飲み物の注文をした。
「お腹空いちゃった。先に何か摘まんでようよ」
最初のコメントを投稿しよう!