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私は、眠くなった目を凝らしてお兄ちゃんの顔を見た。確かにうっすらと右頬が紫に変色している。
「……それ、どうしたの?」
「仕事でへまやって殴られただけ」
「だけって……」
普通の会社ならあり得ないことなのに。
痣のできた頬を軽く押さえながら、お兄ちゃんもビールを頼んでいた。
「ここ、海鮮美味いんだろ? それともコースでなんか予約してる?」
「一応、会席頼んでるけど、上品な盛り付けだし足らないかもよ」
「会席って、いくらすんの?」
「確か、一万三千円じゃなかったかな」
「は? ひとり?!」
お兄ちゃんが目を丸くしている。
「お会計なら心配しないで。事務所にツケておくから」
にっこり微笑んだリウ・ウェイロンが店員に、料理を運ぶように言った。
「事務所って、芸能プロ? こんなんどうやって経費で落とすんだよ?」
「竜也はそんなこと心配しなくていいよ」
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