episode 3 お兄ちゃん

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 私は、眠くなった目を凝らしてお兄ちゃんの顔を見た。確かにうっすらと右頬が紫に変色している。 「……それ、どうしたの?」 「仕事でへまやって殴られただけ」 「だけって……」  普通の会社ならあり得ないことなのに。  痣のできた頬を軽く押さえながら、お兄ちゃんもビールを頼んでいた。 「ここ、海鮮美味いんだろ? それともコースでなんか予約してる?」 「一応、会席頼んでるけど、上品な盛り付けだし足らないかもよ」 「会席って、いくらすんの?」 「確か、一万三千円じゃなかったかな」 「は? ひとり?!」  お兄ちゃんが目を丸くしている。 「お会計なら心配しないで。事務所にツケておくから」  にっこり微笑んだリウ・ウェイロンが店員に、料理を運ぶように言った。 「事務所って、芸能プロ? こんなんどうやって経費で落とすんだよ?」 「竜也はそんなこと心配しなくていいよ」
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