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「起きないと、全部食べちゃうぞ」
それを言ったのがリウ・ウェイロンなのかお兄ちゃんなのかももう判別つかなかった。
「う……ん」と掠れた返事をして、私はお兄ちゃんの肩にもたれかかった。
なんだか、懐かしい匂いがする。
どんな時でも、昔から、お兄ちゃんの隣なら安心して寝れた。
「こうやってみたら、二人恋人同士みたいだね」
ウェイロンの冷やかしにお兄ちゃんが何て答えたか分からない。睡魔に堕とされながら、私は、おかしな事を思った。
国籍も違うのに、顔が似た二人。
形は違えど、私が好きな人たち。
もし、ここで大災害が起こって、私が他の誰かを救う余力があったとして——
その時、もし、目の前にリウ・ウェイロンとお兄ちゃんがいたなら、どちらを助けるだろうか?
ありえない妄想をしながら、私は、お兄ちゃんのシャツの袖を握った。
昔から、自分の弱い所を滅多に見せないお兄ちゃん。
だから、きっと、家を出た。
勘当されなくても、お兄ちゃんは家から離れていただろう。
でも。
これ以上、遠い所にいかないでね。
肉の焦げる香ばしい匂いに薄く目を開けて、私は、また重い瞼をおろした。
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