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ワン・カイが無邪気に俺の顔を見る。
「俺をあんな男か女かわからんようなモデルと一緒にするなっつーの」
言った矢先、新宿駅東口前広場の【クロス新宿ビジョン】に、今や華流として日本で最大の人気を誇るリウ・ウェイロンが映し出される。
「わ、リウ・ウェイロンがこっち迫ってくるぅ!」
そこら辺を歩いていた女たちが立ち止まり、3DのCM動画をスマホで録画し始めた。
「動画を撮って何になるんですかね」
ワン・カイも苦笑いしながら、立体的かつ巨大なリウ・ウェイロンの映像を眺めた。
「俺には韓国人歌手も中国人モデルも、みんな同じにしか見えないよ」
小動物みたいな顔をして、肌も女みたいにツルツルで、きっと腋毛もすね毛もないに違いない。
そんなヤワな奴らに似てる、とたまに言われるのが嫌で仕方なかった。
俺は金色に染めた髪を掻きあげながら、忌々しくリウ・ウェイロンを見上げた。
テレビも雑誌も見ない俺が奴を知っているのは、妹が大ファンだからに他ならない。
もし、妹の樹里の前で、半グレの俺とリウ・ウェイロン様が似てるなんて話が出たら、血相変えて怒りまくるだろう。
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