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正真正銘これが初対面の、全くもって知らないヤツが急に話しかけてきたのは、俺がいつも通り屋上で飯を食っている時だった。
屋上は教室みたいに空気が籠っている訳でもなし。
うるさい訳でもなし。
たまにはこうやって思いっきり深呼吸するのも悪くない、なんてらしくないことを考えながら。
とりあえず、今日も今日とて母ちゃんの飯が美味い。
「なんか二回も言わせちゃってごめん……ね?」
「あ、いや、それは……全然」
俺は持っていた箸をおいて、俺の少し前に座っている男の顔を見上げた。
色々理解が追い付いていなかったけど、話しかけてきたヤツがとりあえずこの学校の人間だっていうことだけは、俺の足りない頭でも理解できた。
だって同じ制服着てるし。
ネクタイの色も同じだから、コイツが留年とかしていない限り同い年だろう。
はて、こんなヤツ同学年にいたっけか……。
「えっと……それで?俺は今この場で返事をしなきゃいけない感じなの?」
「あ、いや、それも全然……」
返事もしなくていいんだ……?
そっちから告白してきたのに……?
やっぱり色々あまりにも突然すぎて、俺もどう反応したらいいのかさっぱり分からない。
告白したけど返事はいらなくて、でも告白したことは受け止めて欲しい……ってことか?
「…………」
「……えっと」
「…………」
「……まずはお互い自己紹介から始めない?」
分からなさ過ぎた末、頭を搾ってしぼって唯一出せた答えは、まずはお互い自己紹介から、だった。
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