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屋上で告白されて以降、永瀬くんは本当に俺に話しかけてくれた。
笑顔だし、声も落ち込んでないっぽいし、俺のこと避けたりしないし。
いっそ告白されたことなんて忘れてるんじゃないかってぐらい、本当に普通だった。
湿っぽい空気出したら俺に悪いとか、俺のこと色々気にしてんのかなとか、俺も俺で色んなこと考えたけど、でも永瀬くんが普通であることを望んでるんだからって思って、気にしないことにしてる。
「永瀬くんのクラスはさ、テストやった?」
「……テスト?」
「ほら、英単語のあれ」
いまだに永瀬くんがどこのクラスなのか分かってないけど、同い年ってことは分かってるからあまり話題が尽きることはなくて。
永瀬くんの気遣いもあって、気まずい空気には本当にならなかった。
「……あぁ、ユニット5個ぐらいが範囲のやつ?」
「そうそう。俺さっきがテストだったんだけどさ、マジで終わった……」
「ちょっと範囲広いよね」
「そうなんだよ!小テストしてんだからそれ以外にやんなくていいのにな」
告白されてそれを速攻で振って、関係が悪くなるとかギクシャクするとか、そんなのが普通なんだろうけど、俺たちは全くそうじゃない。
永瀬くんは少しずつ俺のこと今では正座して座らなくなった。
相変わらず体育座りだけど。
でも一歩歩み寄れた証拠だと思う。
「僕のところは来週なんじゃないかな」
「そっか。頑張ってな。単語だけじゃなくてイディオムとかも出たぞ!」
「そうなんだ。ありがとう」
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