21人が本棚に入れています
本棚に追加
「永瀬くんはさ、放課後なにしてんの?」
「えっ?」
「俺は見てくれの通り遊んでばっかなんだけどさ。そういえば永瀬くんのことあんまり知らないなって思って」
「あぁ、そういう……」
屋上と、屋上までの階段を繋いでるドアから真反対のところが、俺たちがいつも話している場所。
俺は場所とか特に気にしてなかったんだけど、永瀬くんが眺めが綺麗なんだって教えてくれた。
確かに学校一の桜の木が見えるし、グラウンドのおかげで他の場所よりも開けて見えて。
入り口の裏側だから気づかなかったけど、今では俺もお気に入りの場所になってる。
教えてくれた永瀬くんに感謝だな。
「……勉強とか?」
「びっくりするぐらいイメージ通りだな。遊んだりしねーの?」
「騒がしい所とか人混みとか苦手で……」
「あぁなるほどな。じゃあずっと家?」
「……そう、だね」
永瀬くんと話してると、ますます永瀬くんと俺は真反対の性格してるんだなって思う。
俺は勉強苦手なのに対して永瀬くんは成績いいみたいだし。
俺は友達とよく遊ぶからゲーセンとかカラオケとかよく行くんだけど、永瀬くんはそういう所苦手みたいだし。
マジでなんで俺のこと好きになってくれたんだろ。
「じゃあ今度のテスト前さ、勉強教えてよ!」
「へっ……?」
「俺数学とか壊滅的だからさ、良ければだけど……」
「あ、うん……いいよ」
「マジで!?助かる〜」
正直に言えば、俺の中にもまだ気まずさというか、申し訳なささというか、そんな感じのものは残ってる。
このまま俺と話してて、永瀬くんは内心傷ついてるんじゃないのかな、とか思ったりする。
でも、永瀬くんと話すのは想像以上に面白いし、永瀬くん悪い人じゃないし、一緒にいるのはめっちゃ楽しいんだよな。
きっかけこそ苦い思い出かもしんないけど、永瀬くんと友達になれて良かった。
「放課後永瀬くんの教室行くよ!何組だっけ?」
「いや、僕が青崎くんのところ行くよ。教科書とか持ってくるの大変だろうし」
「……あー、いい?ぶっちゃけ重いのヤダなって思ってた」
「うん、大丈夫だよ」
最初のコメントを投稿しよう!