ロネとネリー

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「今夜はありがとう。また、満月の夜にあの湖で」  あの夜の別れのとき、ネリーはそう言った。あれから満月は12回来たけど、会えなかった。  キミに会いたい、と思う。たった一夜だったけれども、心の友に出会えた気がした。 「実はね、ここで喰われてもいい。そう思ってたから、あなたが怖くなかった」  ほろ酔いにしてくれる魔法ジュースのおかげか。パーティーの最中、ネリーは本音を打ち明けてくれた。学校での日々が相当辛かったらしい。 「ボクもね、ここに通ってたんだ。けど、オオカミ男ってことがバレてからは、居場所がなくてね。卒業できなかった。それに、パーティーも楽しんだことはなかった。今夜は誘ってくれてありがとう」  そしたら、ネリーはううんと首を振って、とても素敵な言葉を返してくれたんだ。 「あなたの目がきれいだったから、誘いたくなったの」  聞いて心臓が飛び出そうになって、ボクもそう思ったよって、返せなかった。  もう一度会えたら、言いたい。いや、会いに行ってみようか。  町に行くのは勇気がいる。人間の見た目なら大丈夫だとわかっていても。でも、このままここにいても変わらないだろう。  ネリーの居場所は知らない。でも、見つけられる気がする。  魔法使いが身につけている魔力は香水のようで。ボクはその魔力をかぎ分けられる。たとえ微量でも。野いちごみたいな甘酸っぱい香りは覚えている。  さあ、行くよ。キミのところへ。  
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