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「……キミは、ネリー?」
見つけたのは、薄汚れた小犬。けど、だけれども、瞳は緑色の瞳は若葉みたいにみずみずしい。
「やっぱり、ネリーだよね? キミの瞳はきれいだね」
やっと言えたボクの言葉は通じているのだろうか。いや、残念ながら、わからないのだろう。
ネリーは変身魔法でしくじってしまったらしい。自我を失くした犬となり、さまよっていたのだろう。
「なんでそんな魔法を……。ボクのためなのか」
目から涙があふれてきて、犬のネリーの頭に落ちていった。
どのくらい泣いていただろうか。汚れは涙で流され、ネリーの栗色の毛が見えてきた。
そして、次の瞬間。女の子のネリーに戻った。
「ああ。ネリー! ネリー! ボクだよ。ロネだよ」
「ロネ! 戻してくれてありがとう。会えてよかった」
「ボクもだよ。キミの瞳はきれいだね」
「それ、今、言うこと?」
「言えるときに言う。行けるときに行く。できるときにやる。ボクはそう決めた」
かっこうつけた恥ずかしい宣言。だけど、ネリーはほほえんで、ボクの手を握ってきた。
「じゃあ、私も言えるときに言う。これからは、こうやって学校いっしょに行って」
「保護者かよ……」
と言うボクの頬はゆるんでいる。言えるときに言うって言ったばかりなのに、まだまだ素直に言えないな。
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