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ゆうりは、仁藤に穏やかな笑みを向けている郡司に目をやった。
ジョッキに入っているのは何なんだろう。
お酒なのか?
顔が真っ赤だ。
仁藤は郡司が下戸なのを知っているのに何故お酒を勧めているのだろうか。
酔った郡司を連れて帰ろうとでも思っているのだろうか。
おそらく仁藤は郡司のことが好きなのだろう、とゆうりは前から思っていた。
郡司は仁藤のことをどう思っているのだろう。
それにしても、飲めない人にお酒を勧めるのはいかがなものかと思う。
「ねー、泣き虫花村は彼氏いないのー?」
八神主任が放った一言で、ゆうりは妄想の世界から引き戻された。
ゆうりの切りたての髪を指でクルクル回しながら「髪下ろしてるのも可愛い〜」と言っている。
最近、ギリギリ肩につかない長さにカットし髪を洗うのも楽になったので、ゆうりは今の髪型がお気に入りだ。
病棟では肩につく長さの髪は結ばなくてはいけないので、一応ハーフアップにしている。
他のスタッフが髪を下ろしているのも新鮮だ。
八神主任もいつもは綺麗なお団子ヘアだけど今日はロングヘアを下ろしていて、どこかの高級クラブのお姉さんのようだ。
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