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「え?いませんよー。もう何年になるのか分かんないくらいです。てかもう泣き虫じゃないんで」
「マジで?!絶対モテるじゃんー。なのにいないの?オカシイ」
「世の男はオカシイのかもです」
ゆうりは八神主任に肩を組まれながら、隣に座る病棟責任者の楠川真波の話をうんうんと聞いてニコニコ笑って「若いっていいね」と言われながら、よく分からない勧められたお酒を胃に流し込んだ。
「あ、そうだ。プリセプター、大変?」
「あー、んー…」
「どう?園田」
「頑張り屋さんですよ」
ゆうりは当たり障りない感じで答えた。
語り始めたらキリがないのだが、それを口にするのは時期尚早だし、自分なんかが『あの子はホントにヤバいんですよ』なんて言えた立場じゃない。
「優しいなぁプリセプター!」
八神はドンっとゆうりの背中を叩くと、お猪口を口に付けてきた。
…えぇ?!
「ファイト!花村!」
八神主任のダミ声に周りも感化され、大声で煽られる。
嫌々飲み込んだお酒は多分日本酒だ。
一気にクラクラしてきた。
多分、このお酒は身体に合わないんだろうなと思って避けてきたのに…。
最悪…。
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