1.お世話係

13/20

51人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「え?いませんよー。もう何年になるのか分かんないくらいです。てかもう泣き虫じゃないんで」 「マジで?!絶対モテるじゃんー。なのにいないの?オカシイ」 「世の男はオカシイのかもです」 ゆうりは八神主任に肩を組まれながら、隣に座る病棟責任者の楠川真波(くすがわ まなみ)の話をうんうんと聞いてニコニコ笑って「若いっていいね」と言われながら、よく分からない勧められたお酒を胃に流し込んだ。 「あ、そうだ。プリセプター、大変?」 「あー、んー…」 「どう?園田」 「頑張り屋さんですよ」 ゆうりは当たり障りない感じで答えた。 語り始めたらキリがないのだが、それを口にするのは時期尚早だし、自分なんかが『あの子はホントにヤバいんですよ』なんて言えた立場じゃない。 「優しいなぁプリセプター!」 八神はドンっとゆうりの背中を叩くと、お猪口を口に付けてきた。 …えぇ?! 「ファイト!花村!」 八神主任のダミ声に周りも感化され、大声で煽られる。 嫌々飲み込んだお酒は多分日本酒だ。 一気にクラクラしてきた。 多分、このお酒は身体に合わないんだろうなと思って避けてきたのに…。 最悪…。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加