1.お世話係

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「…とりあえず、郡司さん起こしてから決めるわ。…あ、ここいくら?」 「3200円」 「おっけ…誰か郡司さんの分払った?」 「ううん」 「…じゃあ6400円払っとく」 ゆうりがピッタリ6400円払うと、葵は「二次会…」とまた呟いた。 「郡司さん起きたら行く。…多分無理だけど。この人下戸だから」 ゆうりは『なんで飲んだんだよ…』と心の中で呟いた。 「分かった。…先、行ってるね」 先も何も無いんだけどなぁ…。 ゆうりはため息をついて二次会の会場へと向かう葵の背中を見つめた。 「郡司さーん」 「…ん」 「郡司さーん!」 「はぃ…」 ダメだ…この人。 ゆうりはまたため息をついた。 この寝ている人をどうするのが正解なのだろう。 家に送り届けたいけど家の場所も分からない。 「ぐーんーじーさぁぁーん!!!」 「うぅっるさ…だれ…」 目を開けられないのだろうか。 郡司は目を瞑りながらゆうりの顔を触り始めた。 「みず…」 「…え?」 ゆうりは呆れた声を出した。 「お水…飲みたい…」 えぇ…どうしよ…。 ボタン押して店員さん呼ぼうかな…。 もう帰るのに、大丈夫かな。 ゆうりが回らない頭をフル回転させていると、「ハイ、これね」というダミ声と共に視界にミネラルウォーターが現れた。 八神主任がペットボトルを差し出していたのだ。 「…ありがとうございます」 「花村、りりちゃんのお世話よろしくね」 八神主任がウィンクした。 …え? なんで? 『お世話してやらんとー!』という八神主任の声が脳内にこだました。 え、そういうこと? …ん?どういうこと?
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