1.お世話係

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てか、家分かんないんだけど…。 どうしようかと考えていると、お店の入り口で後輩と話している仁藤が視界に入りハッとした。 「仁藤さん」 「おー、何?」 「郡司さんのこと、送ってってもらえますか」 軽く酔っている状態じゃなきゃこんなこと言えない。 郡司をこんなにぐでんぐでんにしたのは仁藤なのだ。 責任をとってもらわなければ。 「何でだよ。八神主任に郡司のことお願いって言われてたろ?」 「それは…そうですけど…」 「主任の命令は絶対」 仁藤はピッと人差し指を出した。 その指引っ込めろ!と言いたくなる。 「な…てかわたし、郡司さんの家知らないんですけど」 ゆうりがそう言うと、仁藤はおもむろにスマホを取り出してトークアプリのQRコードを差し出した。 「ハイ、これ俺の連絡先ね。花村に里々佳の家の場所送るから」 「…はい」 ゆうりは言われるがままQRコードを読み込み、仁藤の連絡先を登録した。 すぐに、画像が送信されてきた。 「ここからそこまで遠くないし、全然歩ける距離だから」 とはいえ、郡司はぐでんぐでんだ。 「タクシーとか…」 「つかまればいいかもだけど、この辺飲屋街だし保証ないよ?歩いてった方がまだマシかも」 ゆうりは「じゃ、お疲れ様!」と片手を上げた仁藤を強く睨んだ。 なんでわたしが…。 郡司さんに飲ませた奴の罪は重いぞ。 今度絶対に何か奢らせてやる。
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