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てか、家分かんないんだけど…。
どうしようかと考えていると、お店の入り口で後輩と話している仁藤が視界に入りハッとした。
「仁藤さん」
「おー、何?」
「郡司さんのこと、送ってってもらえますか」
軽く酔っている状態じゃなきゃこんなこと言えない。
郡司をこんなにぐでんぐでんにしたのは仁藤なのだ。
責任をとってもらわなければ。
「何でだよ。八神主任に郡司のことお願いって言われてたろ?」
「それは…そうですけど…」
「主任の命令は絶対」
仁藤はピッと人差し指を出した。
その指引っ込めろ!と言いたくなる。
「な…てかわたし、郡司さんの家知らないんですけど」
ゆうりがそう言うと、仁藤はおもむろにスマホを取り出してトークアプリのQRコードを差し出した。
「ハイ、これ俺の連絡先ね。花村に里々佳の家の場所送るから」
「…はい」
ゆうりは言われるがままQRコードを読み込み、仁藤の連絡先を登録した。
すぐに、画像が送信されてきた。
「ここからそこまで遠くないし、全然歩ける距離だから」
とはいえ、郡司はぐでんぐでんだ。
「タクシーとか…」
「つかまればいいかもだけど、この辺飲屋街だし保証ないよ?歩いてった方がまだマシかも」
ゆうりは「じゃ、お疲れ様!」と片手を上げた仁藤を強く睨んだ。
なんでわたしが…。
郡司さんに飲ませた奴の罪は重いぞ。
今度絶対に何か奢らせてやる。
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