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「郡司さん…歩けますか?」
「むり…」
「じゃあタクシー呼びますね」
ゆうりはスマホを操作してタクシーアプリを起動した。
運良く近くを走るタクシーがいたので、呼ぶとすぐに向かって来てくれた。
「郡司さん。タクシー、あと10分くらいで来るんで…」
「ぅん…」
大丈夫かな…。
なんだか無性に心配になってきた。
気持ち悪くなって吐いたりしないだろうか。
お酒弱いのに飲んで潰れて…。
なんでこんなになるまで飲んだんだろう。
ゆうりはお店の前にあるベンチに郡司を座らせた。
「お水、飲みますか?」
コクンと頷いた郡司にペットボトルを差し出すが、郡司はうなだれるだけでペットボトルを手に取ろうとしない。
隣に座ってゆうりがペットボトルの口を当てると、郡司はゴクゴクと水を飲んだ。
なんかちょっと可愛い。
「もっと飲みます…?」
「…いい。大丈夫」
半寝状態の郡司とタクシーを待つこと10分。
到着したタクシーに乗り込み、郡司の家の場所を伝えると、5分ほどで到着した。
確かに徒歩でもよかった。
しかし今の郡司にはこの距離すら歩くのは無理だろう。
ヨタヨタする郡司の腕を回し、腰を支えながらマンションのエレベーターに乗り込む。
随分立派なマンションに住んでるな…。
仕事も超デキるし美人だし、家の中もさぞかし綺麗なんだろうな。
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