1.お世話係

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「郡司さん…歩けますか?」 「むり…」 「じゃあタクシー呼びますね」 ゆうりはスマホを操作してタクシーアプリを起動した。 運良く近くを走るタクシーがいたので、呼ぶとすぐに向かって来てくれた。 「郡司さん。タクシー、あと10分くらいで来るんで…」 「ぅん…」 大丈夫かな…。 なんだか無性に心配になってきた。 気持ち悪くなって吐いたりしないだろうか。 お酒弱いのに飲んで潰れて…。 なんでこんなになるまで飲んだんだろう。 ゆうりはお店の前にあるベンチに郡司を座らせた。 「お水、飲みますか?」 コクンと頷いた郡司にペットボトルを差し出すが、郡司はうなだれるだけでペットボトルを手に取ろうとしない。 隣に座ってゆうりがペットボトルの口を当てると、郡司はゴクゴクと水を飲んだ。 なんかちょっと可愛い。 「もっと飲みます…?」 「…いい。大丈夫」 半寝状態の郡司とタクシーを待つこと10分。 到着したタクシーに乗り込み、郡司の家の場所を伝えると、5分ほどで到着した。 確かに徒歩でもよかった。 しかし今の郡司にはこの距離すら歩くのは無理だろう。 ヨタヨタする郡司の腕を回し、腰を支えながらマンションのエレベーターに乗り込む。 随分立派なマンションに住んでるな…。 仕事も超デキるし美人だし、家の中もさぞかし綺麗なんだろうな。
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