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親睦会の会場に到着したのは19時半を過ぎた頃。
半ば強引に業務を終わらせて…と言っても必要最低限だけで、親睦会の後に記録するつもりで一旦帰宅しただけだ。
会場に合うように綺麗めな服に着替えて来たらこんな時間になってしまった。
「花村ー!こっちこっちー!」
ゆうりは八神主任に手招きされ、何度も会釈をしながらその席に向かった。
八神主任と郡司が座る長椅子の一番端に座るように促され、ゆうりは八神主任の隣に腰掛けた。
「うちの将来有望ナースの花村ゆうりちゃんです♪」
早速目の前のベテラン感漂うイケオジに紹介される。
勝手にイケオジとか言って、超有名な先生とかだったらものすごく失礼だけど。
しかしここの席、そういうお店にしか見えないんですけど…。
隣のテーブルでキャッキャとはしゃぐ楠川師長は、この間の歓迎会の時とは全く違うお上品過ぎるフォーマルな装いで、熟女の魅力が溢れ返っている。
両隣にはお偉い先生と思われる方々と、その前には翠和大学病院の循環器内科の先生。
「やだもう〜!」とか言いながら嬉しそうにお酒を飲んでいるその光景を見て、ゆうりはどこのキャバクラだよとツッコミを入れたくなった。
「…こんばんは。遅くなってすみません。花村です…。今日は…その…よろしくお願いします」
ゆうりがペコッとお辞儀すると、八神主任と目の前のイケオジたちはゲラゲラ笑い、八神主任の隣に座る郡司も「プッ」と笑って口元を手で押さえた。
「えっ?!」
「ぜーんぜん、そんなかしこまらなくてもいいから!ねー?尾崎先生?」
「そうそう。堅苦しい話はナシでさ、今日は楽しく飲も!」
イケオジ…尾崎先生はゆうりにグラスを手渡すと「ビール飲める?」と言った。
「はい」
そう言うと、尾崎先生が側にあった瓶ビールを手に取ったので、ゆうりは反射的に「あっ!わたしやります」と手で制した。
すると。
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